基本分類
- 和名
- ヤマシギ(山鷸)
- 学名
- Scolopax rusticola
- 分類
- 鳥綱 チドリ目 シギ科 ヤマシギ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種で、古くから日本の伝統的狩猟鳥として親しまれてきた。 奄美諸島・沖縄諸島に分布する近縁種アマミヤマシギは非狩猟鳥獣かつ国指定天然記念物であり、両種が同所的に生息する地域では誤認捕獲に特に注意が必要とされる。
生態
- 分布
- 日本では北海道と東日本、伊豆諸島で繁殖し、本州から南西諸島にかけての地域では主に越冬期(冬鳥)として渡来する。 国外ではユーラシア大陸の中緯度地方に広く分布する。 平成21〜25年度の狩猟等の捕獲記録では、千葉県・茨城県・新潟県・静岡県・愛知県・広島県・高知県・福岡県・熊本県・鹿児島県で捕獲数が多い。
- 生息環境
- 農耕地、河川敷、湧水湿地、灌木湿地、湿原など幅広い環境に生息する。 非繁殖期(越冬期)は日中、林内やその周辺の藪を隠れ場所とする。
- 体サイズ
- 全長34cm、ハト大ほどの中型のシギでずんぐりした体型。 目が頭部の後方についており、ほぼ360度の視界を持つ。 体重は国内の一次資料を確認できていないが、海外の集計では概ね250〜420g程度とされる。
- 活動時間
- 夜行性傾向が強い。 日没後、林内から飛び立って湖沼畔・水田の畦・川原などへ移動し、夜間ずっと地上を歩きながら採食する。 ただし薄暗い林間や安全な河畔では昼間も採食を行う。
- 食性
- 土中に潜むミミズを好んで採食するほか、昆虫類・甲殻類、イネ科やタデ科の植物質の種子も食べる。 茨城県で採取された幼鳥の胃内容からは湿地性のゴミムシ類も確認されている。
- 行動特性
- 日中は林内の藪に身を潜め、夜行性であることと隠れて生活することが多いため生息地での様子はよく分かっておらず、日中に生息を確認することは非常に困難とされる。 非繁殖期の好適な採餌環境として、夜間に人の往来(ジョギングや犬の散歩など)がほぼない場所を選好することが環境省の試行調査で確認されており、強い警戒性・人回避傾向がうかがえる。 繁殖期(4〜6月)は一夫多妻または乱婚形式であろうと考えられているが詳細は分かっておらず、恒常的な群れは作らず巣は藪や草むらの地上の窪みにメスだけで作る(1巣卵数2〜5個)。 好適な採餌場所には複数個体が緩やかに集まることもあるが、これはカワウのような社会的なコロニー形成とは性質が異なる。 北海道・東日本の繁殖個体群は季節的な渡りを行う一方、本州以南の越冬個体は比較的定住的な傾向がある。
狩猟情報
- 猟期
- 全国標準は11月15日〜2月15日、北海道は10月1日〜1月31日とされる。 猟期・規制は都道府県により異なるため、必ず自治体の最新情報を確認すること。
- 主な猟法
- 銃猟(装薬銃・空気銃)。 網猟は人が操作する網に限られ、わな猟は鳥類の捕獲には全国一律で使用が禁止されている。 ヤマシギとタシギは合算して1日当たり5羽までに捕獲数が制限されている(猟区の区域外)。
判別ポイント
タシギ(狩猟鳥獣・別種)との違い: タシギはヤマシギよりずっと小型(ヒヨドリ大)で、頭頂部に黄白色の縦線(頭央線)があり、肩から背にかけて3対の黄白色の線が目立つ。 嘴は頭部の幅の2つ分以上とタシギの方が頭に比べて相対的に長い。 アマミヤマシギ(非狩猟鳥獣・天然記念物、奄美諸島・沖縄諸島のみ注意)との違い: 過眼線とその下の黒い線がほぼ平行である点(ヤマシギは嘴方向に向かって狭まる)、立ち姿勢をとることが多くかかとがはっきり見える点(ヤマシギは前かがみの姿勢をとることが多くかかとが見えない場合が多い)で識別するが、色彩・斑紋には個体差が大きく判別に迷う場合も多いとされる。 ヤマシギの一般的な特徴は、頭頂から後頭にかけて4本の黒褐色の太い横斑があり、頭部が「オニギリ型」で体に対して大きく、目が頭の上部でやや後方にある点。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 農林水産省が公表する野生鳥獣による農作物被害状況の統計において、ヤマシギは主要な被害種として計上されておらず、農林業被害の報告は一般的でないと考えられる。
- 利用
- 古くから日本の伝統的な狩猟鳥として親しまれ、ジビエとしても内臓ごと調理されることが多く「ジビエの王様」と評されるなど評価が高い。 国内での流通量は少なく、主に1〜2月頃に限られるとされる。
- 豆知識
- 古くから日本の伝統的な狩猟鳥として身近な存在だったが、1980年代以降狩猟数が減少し生息状況に関する情報が乏しくなったことから、環境省は2013年(平成25年)からモニタリング手法の確立に向けた調査を継続している。 眼が頭部の後方につきほぼ360度の視界を持つ独特の顔つきは、地上でじっと動かず外敵を警戒する隠蔽的な生活に適応した結果と考えられる。
出典
- 環境省「ヤマシギ(越冬期)調査マニュアル」(2016年3月)(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 ~誤認捕獲の防止のために~(一部改定版)」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省 生物多様性センター「第6回自然環境保全基礎調査 鳥類 ヤマシギ」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「狩猟制度の概要」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「参考資料2 狩猟鳥獣の保護を目的とした狩猟期間の制限、捕獲規制及び猟法の制限」(取得日: 2026-07-04)
- 農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について」(取得日: 2026-07-04)
- ラ・トゥーエル「冬のおすすめの一皿~ジビエ~」(取得日: 2026-07-04)
- ATPRESS「本格和食『小熊』が『熟成ジビエ』をスタート」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
識別クイズで見分け方を練習できます。

