基本分類
- 和名
- ヤマドリ(山鳥)
- 学名
- Syrmaticus soemmerringii
- 分類
- 鳥綱 キジ目 キジ科 ヤマドリ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。 日本固有種。 ただし亜種コシジロヤマドリは生息数の少なさ・準絶滅危惧指定を背景に狩猟対象から除外されており、コシジロヤマドリを除くヤマドリの雌は環境大臣の指定により捕獲が禁止されている(令和4年9月15日〜令和9年9月14日、放鳥獣猟区を除く全国の区域が対象。 期限を含む詳細は自治体・環境省の最新告示で要確認)。
生態
- 分布
- 日本固有種で、本州・四国・九州の山地に留鳥として分布する。 地域により5亜種(基亜種ヤマドリ〈キタヤマドリ〉、シコクヤマドリ、ウスアカヤマドリ、アカヤマドリ、コシジロヤマドリ)に分けられ、南方の個体群ほど羽色の赤みが強くなる傾向がある。 亜種コシジロヤマドリは九州中南部(熊本県南部・宮崎県南部・鹿児島県)に分布し、宮崎県の県鳥に指定されている。 北海道・佐渡島・隠岐島・小豆島などには狩猟目的等で人為的に移入された個体群が生息する。
- 生息環境
- 標高1500m以下の山地の森林・藪地に生息する。 スギ・ヒノキ等の針葉樹林や、下生えにシダ植物が繁茂した薄暗い環境、渓流沿いの沢筋を好む。
- 体サイズ
- 雄は全長約125cm(うち尾長41.5〜95.2cm)、体重0.9〜1.7kg。 雌は全長約55cm(尾長16.4〜20.5cm)、体重0.7〜1kg。 雄は尾羽が著しく長く、竹の子状の横縞模様が入るのが特徴。
- 活動時間
- 留鳥で夜は樹上でねぐらをとり、昼間は主に地上を歩きながら採食する昼行性。 明け方・夕方の活動性に関する詳細な報告は確認できていない。
- 食性
- 植物食傾向の強い雑食性。 植物の葉・花・果実・種子・シダ類・堅果類・山菜に加え、昆虫・クモ・甲殻類・陸生の巻貝・ミミズなども食べる。 主に地上を歩きながら採食する。
- 行動特性
- 極めて警戒心が強く、人が近づくとすぐに走って逃げる、あるいは音もなく落ち葉の中へ姿を消すとされる。 基本的に単独性が強く、非繁殖期には雌雄それぞれで小規模な群れを形成することがあるが、恒常的な大集団は形成しない。 繁殖形態は一夫一妻制で、繁殖期のオスは翼を激しく羽ばたかせて大きな音を出す「ドラミング(母衣打ち)」により縄張り宣言と誇示を行う。 主に地上生活性で飛翔力は強くなく、危険を感じると走って逃げるか、沢沿いを滑空するように飛んで移動する習性がある。
狩猟情報
- 猟期
- 全国標準は毎年11月15日から翌年2月15日まで(北海道は10月1日〜翌年1月31日と別期間)。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
- 主な猟法
- 銃猟(散弾銃)が中心。 猟犬に追われたヤマドリが沢沿いを滑空するように飛び下りる習性を利用した「沢下り撃ち」という伝統的猟法がある。 ヤマドリ・キジの捕獲にテープレコーダー等の電気音響機器を使用する猟法は禁止されている。 わな猟・網猟による捕獲についての一般的な情報は確認できていない。
判別ポイント
ヤマドリのオスは全身が赤みを帯びた茶色(銅色)で、頭部から胸にかけて緑・青の光沢と赤い顔の肉腫が目立つキジのオスとは容易に区別できる。 一方、ヤマドリのメスとキジのメスはいずれも茶褐色のまだら模様で酷似し、免許試験・現場双方で頻出の識別課題である。 判別ポイントは、(1)羽の並び方:ヤマドリのメスは肩羽から雨覆にかけての羽が規則正しく整然と並ぶのに対しキジのメスは不揃いに見える、(2)尾羽:ヤマドリのメスはキジのメスより短く丸みを帯びる、(3)色合い:ヤマドリのメスはキジのメスより地色が濃く赤みが強い傾向がある、(4)生息環境:キジのメスは田んぼ・川原・農耕地周辺の平地の開けた環境、ヤマドリのメスは山奥の森林内のみに生息するという違いが最も実用的な手がかりとされる。 いずれの識別点にも個体差があるため、判別に自信が持てない場合は捕獲を見送ることが安全策とされる。 また、九州でヤマドリ猟を行う場合は、狩猟が禁止されている亜種コシジロヤマドリとの誤認防止にも注意が必要である。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 調査した範囲ではヤマドリによる農作物被害の統計・報告は確認できない。 イノシシ・シカ・カラス・カモ類等と異なり、農業被害として問題視される事例は見当たらない。
- 利用
- ジビエとして高く評価されており、「究極の地鶏」とも称される。 肉質はニワトリより締まりがあり臭みがほとんどなく、噛むほどに旨味が出るとされる。 個体数が少なく希少なため、狩猟者が自ら捕獲して自家消費する例が中心とされ、飲食店のメニューに並ぶことは一般的でないとされる。
- 豆知識
- ヤマドリの長い尾羽は古くから武具の装飾(兜の立物等)や矢羽根などに利用されてきたとされ、万葉集の柿本人麻呂の歌にも登場するなど古来から日本人に親しまれてきた鳥である。 猟犬に追われたヤマドリが沢沿いを滑空するように飛び下りる習性を利用した「沢下り撃ち」という伝統的な猟法もある。
出典
- Wikipedia「ヤマドリ」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「狩猟制度の概要」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜(一部改定版)」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省九州地方環境事務所「九州いきものリレー④〜コシジロヤマドリ〜」(取得日: 2026-07-04)
- 東京都環境局「捕獲を禁止する猟法」(取得日: 2026-07-04)
- 新狩猟世界「『ヤマドリ』は食材を復活させる霊鳥。」(取得日: 2026-07-04)
- ジビエ料理 あまからくまから「山鳥(ヤマドリ)の食べ方・獲り方をジビエ専門店店主が徹底解説」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
識別クイズで見分け方を練習できます。

