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スズメ
鳥類 ・ 狩猟鳥獣

スズメ

身近な小さな知恵者

基本分類

和名
スズメ(雀)
学名
Passer montanus
分類
鳥綱 スズメ目(Passeriformes)スズメ科(Passeridae)スズメ属
狩猟鳥獣としての区分
鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。

生態

分布
ほぼ全国に1年を通じて分布する留鳥。 ユーラシアの亜寒帯から熱帯にかけて広く分布する。 環境省の自然環境保全基礎調査では、1974〜1978年と1997〜2002年の分布メッシュを比較すると、生息確認地点そのものはやや減少した一方(545→398メッシュ)、高密度で確認された地点は増加しており(226→330メッシュ)、分布の広がりと局所的な密度の両面で変化が生じていることが示唆される。
生息環境
人家とその周辺の樹林、農耕地などに生息し、都会でも見かけるが、奥山や人の住んでいない廃村などでは見られない。 平地から低山の人家付近にすむとされ、人間の居住環境と密接に結びついた生息分布を持つ。
体サイズ
全長約14〜15cm。
活動時間
昼行性。
食性
主に種子食で、特にイネ科・タデ科・キク科などの小粒状の乾いた種子を好む。 動物質では、チョウやガの幼虫・成虫、甲虫、バッタなどの小型昆虫やクモ類も食べる。 ヒナには主に昆虫の幼虫を給餌する。
行動特性
繁殖期は3〜9月で、年に1〜3回繁殖する。 巣は人家の屋根・壁などの隙間や樹洞にわらくずなどを敷いて作る、人工物への依存度が高い営巣習性を持つ。 夏から秋には竹林や街路樹、ヨシ原などにねぐらを作るが、冬にかけて分散して小規模になり、ムクドリのような数万羽規模の恒常的な大群は形成しない。 学術調査(北海道南東部、1978〜1995年)では、スズメの出現率は人家の有無と統計的に強く関連しており(農耕地・林で人家がある場合87%・ない場合8%、農耕地では人家がある場合97%・ない場合25%、いずれも有意差あり)、森林ではまったく観察されなかったと報告されている。 これは、近縁種であるニュウナイスズメ(人家の有無との関連が有意でなく、実際の森林環境でも観察される)との対照的な違いを示す学術的根拠である。 都市部では繁殖成績が農村部より明確に低いことが熊本県での野外調査でも示されており、都市部と農村部でスズメ20羽あたりの幼鳥比率を比較したところ農村部の方が有意に高く、1つがいあたりの巣立ちヒナ数も都市部で少ない(都市部では平均1羽程度)ことが確認されている。 この結果は、都市の緑地の少なさに伴う食物不足が繁殖成功を下げている可能性を示唆している。

狩猟情報

猟期
全国標準は毎年11月15日から翌年2月15日まで。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
主な猟法
銃猟が中心とされる。 歴史的には食用目的でスズメ・ツグミなどを対象とした「かすみ網(霞網)」による捕獲が行われてきたが、鳥獣の保護繁殖に重大な支障を及ぼす猟具として鳥獣保護管理法により指定されており、学術研究目的や被害防止目的など環境大臣の許可を受けた場合を除き、所持・使用が原則禁止されている。 かすみ網は種類を問わず捕獲してしまうため、狩猟が禁止されている種まで誤って捕獲してしまう密猟が今なお問題視されている。

判別ポイント

ニュウナイスズメとの識別が最重要ポイント。 環境省の識別資料では、スズメは「上面は茶褐色で頭部はより濃い」「ほおに黒斑あり」「腹部はくすんだ白色」とされる一方、ニュウナイスズメ(オス)は「上面は明るい栗色(メスは上面が灰褐色)」「ほおに黒斑なし」「腹部は汚白色」とされ、両種の体格はいずれも「スズメ大」という共通の基準サイズで示される。 最大の識別点は「頬の黒斑の有無」で、スズメには頬に黒い斑があるのに対し、ニュウナイスズメにはこの黒斑がなく顔が白っぽく明るい印象になる。 生息環境からも判別の手がかりが得られ、学術調査ではスズメは森林でまったく観察されなかったのに対し、ニュウナイスズメは山地の森林でも観察されており、山中で群れているスズメ属の鳥はニュウナイスズメである可能性を考慮する必要がある。 ホオジロ(非狩猟鳥獣)は「眼の上方、ほお・のどが白い」「胸部・腹部は褐色」「尾が比較的長い」「スズメよりやや大」とされ、スズメより体が大きく尾が長い点で区別できる。 カワラヒワ(非狩猟鳥獣)は「全身が栗褐色」「翼の一部と尾羽の付け根が黄色」「スズメ大」とされ、翼・尾の黄色が識別の決め手になる。 カシラダカ(非狩猟鳥獣)は「冠羽が長い」「腹部は白い」「スズメ大」とされ、頭の冠羽の有無で区別できる。

人との関わり

農林業・生活被害
農林水産省の資料によると、農作物被害額は全体的に大きく減少しており、平成19〜20年度の約6億円台から令和4年度には約1.7億円程度まで減少している。 特に稲への被害が減少し、相対的に果樹の被害が目立つようになってきている。 令和4年度統計では、稲への被害が被害量・被害面積・被害金額とも60〜70%程度を占める一方、果樹への被害が被害面積・被害金額で30%程度を占める。 環境省のモニタリングサイト1000里地調査(2005〜2022年度、全国325か所)によると、スズメは2008〜2022年の間、1年あたり3.6%の個体数減少が確認された種の1つに挙げられており、これは環境省レッドリストの絶滅危惧II類の減少率基準(10年あたり30%以上、1年あたり約3.5%以上)に相当する急激な減少率である。 研究者からは、都市部でのスズメの繁殖成功率の低さが主要な減少要因の一つとして指摘されている。
利用
現在の日本ではスズメを対象とした食文化はほとんど廃れているが、歴史的には江戸時代の料理書にスズメの焼き鳥が記載されるなど、身近な野鳥食材として利用されてきた。 穀物を食い荒らす害鳥であったことから、五穀豊穣の神を祀る京都・伏見稲荷大社や東京・雑司ヶ谷の鬼子母神の参道などで、参道名物として「雀の丸焼き」が売られてきた歴史がある。 冬に捕れたスズメは「寒雀」と呼ばれ、脂がのって美味とされていた。 現在、伏見稲荷の参道でスズメの焼き鳥を出す店はごくわずかとなっている。
豆知識
スズメは奥山や無人の廃村では見られないとされるほど、人間の居住環境と密接に結びついた生態を持つ鳥だが、その人間との近さゆえに、現代の都市化(緑地の減少・木造建築の減少による営巣場所の不足)が個体数減少の一因になっていると考えられている。 「ふつうにいる鳥」ほど減少に気づかれにくいという生物多様性保全上の課題を象徴する種ともいえる。

出典

  1. 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜(一部改定版)」(取得日: 2026-07-04
  2. 環境省 生物多様性センター「第6回自然環境保全基礎調査 スズメ」(取得日: 2026-07-04
  3. 農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル(鳥類編)2-2-4 スズメ」(取得日: 2026-07-04
  4. 環境省・公益財団法人日本自然保護協会「モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度とりまとめ報告書の概要」(取得日: 2026-07-04
  5. 三上修(2009)「スズメはなぜ減少しているのか? 都市部における幼鳥個体数の少なさからの考察」Bird Research Vol.5(取得日: 2026-07-04
  6. 藤巻裕蔵(1996)「北海道南東部におけるスズメとニュウナイスズメの生息状況」STRIX Vol.14(取得日: 2026-07-04
  7. 環境省「かすみ網による密猟防止の推進について」(取得日: 2026-07-04
  8. マイナビニュース「伏見稲荷になぜスズメの丸焼きがあるのか」(取得日: 2026-07-04

猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。

識別クイズで見分け方を練習できます。