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スズガモ
被害情報あり
鳥類 ・ 狩猟鳥獣

スズガモ

海辺の大群のまとめ役

基本分類

和名
スズガモ(鈴鴨)
学名
Aythya marila
分類
鳥綱 カモ目(Anseriformes)カモ科(Anatidae)ハジロ属
狩猟鳥獣としての区分
鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。 千葉県レッドリストでは一般保護生物(D)(環境省の準絶滅危惧相当)に区分され、東京都では特定の内湾に個体群が集中する「留意種」に指定されているなど、地域レベルでの保全上の注意が示されている。

生態

分布
繁殖地はユーラシア大陸北部・北アメリカ大陸北部。 冬季はヨーロッパ北部・カスピ海・中国東部・北アメリカ沿岸などに渡り越冬する。 日本には冬鳥として全国の海岸に飛来し、日本に渡来する海ガモ類の中では最も渡来数が多い種とされる。 東京湾・藤前干潟などでは毎冬大群が見られ、千葉県三番瀬では経年調査で平均約11,500〜77,000羽、最大約80,000羽が確認された記録がある。
生息環境
大きい湖沼・河川・内湾・干潟・河口部に生息するが、特に沿岸の海や大きな内湾、河口部を好み、海に近い淡水域でも見られる。 日中は波の静かな内湾や海岸近くの湖沼に入って休息することが多い。 繁殖地は湖沼・湿地で、水辺の草むらや藪、岩の間に巣を作り、しばしばコロニー状に営巣する。
体サイズ
全長オス約46cm・メス約43cm、翼開長74〜80cm、体重600〜975g。 小型の潜水ガモ(海ガモ)類。
活動時間
昼夜を問わず採食するとされ、日中は大群で内湾等に浮かんで休息しつつ、随時潜水して採食する生活を送る。
食性
潜水して採食する動物食中心の雑食性で、水底の巻貝類・二枚貝類(アサリなど)を主に食べ、貝殻ごと丸呑みして砂嚢ですりつぶして消化する。 水草を食べることはまれ。 1回の潜水は1分近くに及ぶこともある。
行動特性
日本に渡来する海ガモ類の中で最多の渡来数を誇り、東京湾や三番瀬などの内湾に数千〜数万羽規模の大群(ラフト)を形成する、群れ性が極めて強い種である。 東京湾内では市川・船橋沖や葛西沖など特定の場所に個体群が集中する傾向があり、2000年代後半以降、東京湾・浜名湖・伊勢三河湾・児島湖など主要生息地で個体数減少が続いている。 東京湾ではアサリ漁獲量の減少と時期が一致することから、餌となる底生生物の減少が要因の一つと推定されている。

狩猟情報

猟期
全国標準は毎年11月15日〜2月15日。 北海道は10月1日〜1月31日と異なる(地域差の一例)。 猟期・規制は都道府県により異なるため、必ず自治体の最新情報を確認すること。
主な猟法
銃猟(散弾銃によるカモ猟)が中心。 地域によりカモ類合計での1日あたりの捕獲羽数上限が定められている場合がある。 わな猟・網猟による捕獲は一般的でないとみられる。

判別ポイント

キンクロハジロのメス(最も混同しやすい近縁種)との違い: 冠羽の有無が最大の手がかりで、キンクロハジロのメスは短いながらも後頭部に冠羽を持つのに対し、スズガモのメスには冠羽がない。 嘴の付け根の白斑はスズガモで明瞭に出やすいが、まれにキンクロハジロのメスにも薄く現れる個体があるため単独の決め手にはしない。 背や脇の色調も手がかりになり、茶色っぽければキンクロハジロ、灰色っぽければスズガモの可能性が高い。 生息環境も参考になり、海水域中心ならスズガモ、内陸の淡水池中心ならキンクロハジロの可能性が高いが、双方が同じ水域に混群することもあるため断定は避ける。 キンクロハジロのオスとの違い: スズガモの背は白〜灰色地に黒い細い縞模様が入るのに対し、キンクロハジロの背は黒一色。 頭部の光沢もスズガモは緑がかり、キンクロハジロは紫がかる。 ホシハジロとの違い: オスは頭部が栗色・胸が黒・背が明るい灰色で体色が大きく異なり識別は容易。 頭部の形状も、スズガモは額が出っ張り後頭が丸みを帯びるのに対し、ホシハジロは額から嘴にかけてなだらかに傾斜する丸い頭型を持つ。 クロガモとの違い: 全身がほぼ黒褐色で、オスは嘴の付け根に黄色〜オレンジ色のこぶ状突起を持つ点でスズガモと明確に異なる。 生息環境でも、クロガモは冬季に波の荒い外海の沿岸に群れて越冬するのに対し、スズガモは波の静かな内湾・干潟・河口部を好むため、海況によってもおおまかに区別できる。 コスズガモ(非狩猟鳥獣・国内では稀な迷鳥)との違い: スズガモに酷似するが体長が一回り小さい(約42cm)。 頭部の形状で、スズガモは頭頂から後頭にかけて軽い段があるように見えるのに対し、コスズガモは後頭部がとがって見える点で識別するとされる。 国内での記録はごく限られており、遭遇はまれ。

人との関わり

農林業・生活被害
スズガモ単独の農業被害額に関する公的統計は確認できていない。 潜水して水底の貝類・水生無脊椎動物を主に採食する海ガモであるため、水田・畑作物を採食するマガモ等の水面採食ガモに比べて農業被害として計上されにくいと考えられるが、確たる出典はない。
利用
環境省・農水省等の公的資料からは食味に関する記述は確認できない。 狩猟者による実食記録(個人の情報源)では、海ガモ類は動物食(貝類・魚介)中心のため陸ガモよりクセが強く、スズガモは「あまり美味しくない」とする評価が複数見られる。 同じ海ガモでもキンクロハジロやホシハジロの方が食味は上とする意見もあるが、いずれも個人の感想の域を出ず、公的な食味評価としては確立していない。
豆知識
「スズガモ」の和名は、飛翔時の羽音が金属質で鈴の音に似て聞こえることに由来するとされる。 貝殻ごと丸呑みし、砂嚢(筋胃)ですりつぶして消化するという、貝食に特化した消化様式を持つ。

出典

  1. 環境省 生物多様性センター「鳥類標識調査 アトラス スズガモ」(取得日: 2026-07-04
  2. 公益財団法人日本野鳥の会「BIRD FAN スズガモ」(取得日: 2026-07-04
  3. 千葉県「スズガモ|三番瀬自然環境データベース」(取得日: 2026-07-04
  4. バードリサーチ「ハジロ類の潜水ガモの減少」(取得日: 2026-07-04
  5. Wikipedia「スズガモ」(取得日: 2026-07-04
  6. 北海道庁環境生活部自然環境局「狩猟者登録について」(取得日: 2026-07-04

猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。

被害と対策

カモ類(マガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ハシビロガモ、ヨシガモ、スズガモ等)による農業被害は主に水田での稲作への影響です。 群れで水田に飛来し、播種直後の種籾を掘り起こして食べたり、成長期の稲穂や青い稲の葉を食害したりします。 スズガモは主に海岸部に生息するため農業被害は限定的ですが、冬季に内陸部の水田に飛来することがあり、その際に稲作への軽微な被害が報告されています。 また、麦類への食害、牧草地での牧草食害も稀に発生します。

年間被害額:約4.5億円(カモ類全体、鳥類被害の14%)データ年度:2023年度
出典:
農林水産省「野生鳥獣による農作物被害状況」環境省「鳥獣保護管理基本指針」
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