基本分類
- 和名
- シベリアイタチ(旧称チョウセンイタチ。環境省レッドリスト2020で和名がシベリアイタチに変更された)
- 学名
- Mustela sibirica
- 分類
- 哺乳綱 食肉目(ネコ目)イタチ科イタチ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 獣類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種(獣類19種)の1種で、リスト上の表記は「シベリアイタチ(長崎県対馬市の個体群を除く。)」。 対馬に自然分布する個体群は狩猟対象から除外されており、環境省レッドリスト2020で絶滅危惧ⅠB類(EN)に評価されている。 それ以外の西日本の外来定着個体群は雌雄とも狩猟鳥獣である。
生態
- 分布
- 自然分布はウラル山脈西側からシベリア・モンゴル・中国大陸・パキスタン・タイ・ベトナム・朝鮮半島・台湾・対馬に及ぶ。 日本国内では対馬にのみ自然分布し、対馬以外(福井県・岐阜県・愛知県以西の西日本、沖縄を除く)は毛皮養殖個体の逃走・放逐に由来する外来定着個体群(韓国由来とされる)。
- 生息環境
- 山地から低地の農村周辺まで幅広く生息し、特に低地が好適とされる。 倒木や茂みなどを巣として利用する。
- 体サイズ
- オス頭胴長28〜39cm・体重650〜820g、メス頭胴長25〜31cm・体重360〜430g程度とされる。 尾長が頭胴長の50%以上あるのがニホンイタチとの顕著な違い。 資料により数値には幅があり目安として示す。
- 活動時間
- 基本的に夜行性だが、昼間の活動も見られる。 冬眠はしない。
- 食性
- ネズミ類・鳥類・カエル・昆虫類・魚類・甲殻類・果実類など多食性。 ニホンイタチに比べ植物質(果実)の摂食比率がやや高いとされる。
- 行動特性
- メスは一定の行動圏を持ち土穴に営巣し、秋に分散する傾向がある。 樹上への登攀や水中での遊泳もこなす高い運動能力を持つ。 交尾期は4〜5月で夏に出産し、産子数は資料により2〜12(平均5〜6程度)と幅がある。 捕食圧の高さと繁殖力の強さから在来のニホンイタチを競合により追いやり、生息数を伸ばしているとの報告がある。
狩猟情報
- 猟期
- 全国標準は11月15日〜2月15日、北海道は10月1日〜1月31日とされる。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
- 主な猟法
- わな猟(箱わな・くくりわな)が中心。 銃猟も可能。 網猟による捕獲実態は確認できていない。 2017年(平成29年)9月の規則改正までは(ニホンイタチと同様に)オス限定だったが、メスとの判別が可能と判断されたことを理由に雌雄とも狩猟鳥獣に追加された経緯がある。
判別ポイント
シベリアイタチ vs ニホンイタチ(最重要): 尾長が頭胴長(体長)の50%以上ならシベリアイタチ、50%未満ならニホンイタチと判定できるとされ、体格もシベリアイタチの方が一回り大きい傾向がある。 地域による捕獲可否の違いに注意: 対馬個体群は絶滅危惧種で捕獲禁止、対馬以外(西日本)の個体群は狩猟鳥獣であり、同じ和名・同じ外見でも地域によって捕獲の可否がまったく異なる。 シベリアイタチ vs テン: テンの方がさらに大型で、顔や足先の毛色が季節(夏は黒色系、冬は白色系)で大きく変化するが、シベリアイタチにはこの顕著な季節的変化はない。 シベリアイタチ vs ミンク: ミンクは後足に水かきを持ち尾が太く水辺への依存性がより強いのに対し、シベリアイタチは農村周辺にも広く出現し生息環境の幅がより広い。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 家畜(養鶏)への被害、家屋への侵入、騒音被害などが報告されている。 「日本の侵略的外来種ワースト100」に選定されており、在来イタチの駆逐や動植物への高い捕食圧といった生態系被害が懸念されている。 ただしシベリアイタチ単独の全国被害金額の公表データは確認できていない。
- 利用
- 食用としての利用は一般的でない。
- 豆知識
- 2022年11月、対馬でシベリアイタチとニホンイタチの種間交雑個体(雑種)が確認されたと報告されており、従来「異種間交配は起こらない」と考えられていた常識を覆す発見として紹介されている。 対馬の集団は絶滅危惧種として保護される一方、海を渡った先の西日本では防除・駆除が課題となる外来種として扱われるという、同一種内で対照的な立場を持つ。
出典
- 環境省「狩猟制度の概要」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「イタチとチョウセンイタチ」識別・規制改正資料(取得日: 2026-07-04)
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「チョウセンイタチ」(取得日: 2026-07-04)
- Wikipedia「シベリアイタチ」(取得日: 2026-07-04)
- エコロジーオンライン「外来種だけど絶滅危惧?!対馬の『シベリアイタチ』」(取得日: 2026-07-04)
- マイナビ農業「狩猟できる期間は11月15日〜2月15日 冬はジビエの季節!」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
保全上の注意
長崎県対馬市に自然分布する個体群は、環境省レッドリストで絶滅危惧IB類(EN)とされ、狩猟鳥獣リスト上も対馬の個体群は除かれており捕獲が禁止されている。 対馬以外の地域に定着した個体群は狩猟対象。
識別クイズで見分け方を練習できます。

