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ニュウナイスズメ
鳥類 ・ 狩猟鳥獣

ニュウナイスズメ

森の小さな職人

基本分類

和名
ニュウナイスズメ(入内雀)
学名
Passer cinnamomeus(日本野鳥の会の表記。学術文献ではPasser rutilansとも表記され、文献により学名表記が分かれる)
分類
鳥綱 スズメ目(Passeriformes)スズメ科(Passeridae)スズメ属
狩猟鳥獣としての区分
鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。

生態

分布
北はロシア、東は日本、南はインド、西はアフガニスタンまで、東アジア・東南アジア・南アジア・中央アジアに広く分布する。 日本では主に北海道の平地林や本州中部以北の山地で5〜7月に繁殖し、関東地方以南の暖地で越冬する。 秋冬には根雪のない低地へ移動する、季節による標高・緯度移動を行う種。
生息環境
中〜高標高の農耕地、野原、明るい落葉広葉樹林など開放的な森林に生息する。 繁殖は森林で、越冬は農耕地で行うというように、季節によって利用する環境が異なる。 北海道南東部での学術調査では、スズメが農耕地・住宅地に集中する(森林ではまったく観察されない)のに対し、ニュウナイスズメは山間部でスズメより出現頻度が高く、落葉広葉樹林(出現率27%)・針広混交林(同4%)・針葉樹林(同8%)といった実際の森林環境でも観察されており、スズメより自然植生への依存度が高い種であることが示されている。 同調査では、農耕地でのニュウナイスズメの出現は人家の有無と統計的に有意な関連が見られなかった(人家がある場合46%・ない場合10%、有意差なし)のに対し、スズメは人家の有無と強く関連していた(人家がある場合87〜97%・ない場合8〜25%、いずれも有意)ことが報告されており、ニュウナイスズメがスズメほど人間の居住環境に依存していないことを示す学術的根拠となっている。
体サイズ
全長約14cm。 スズメとほぼ同じ大きさ。
活動時間
昼行性。
食性
雑食性で、繁殖期には昆虫類を多く食べ、越冬期には穀物や草の種子を主食とする。
行動特性
繁殖期以外は農耕地や川原などで群れを作って生活し、少数個体がスズメの群れに混じって行動することもある。 歴史的には「晩夏から初秋にかけて田に大群で押し寄せ、イネの未熟果を食い荒らす大害鳥」と認識されており、この認識が現在の狩猟鳥獣指定の背景にあるとされる。 ただし現在の農林水産省の全国農作物被害統計では、キジバト・ヒヨドリ・ムクドリ・スズメのように独立した被害集計項目として扱われておらず、全国規模での経済的被害の報告はこれら4種に比べて限定的である。 スズメとの分布域はかなり重複しているものの、学術調査(北海道南東部、1978〜1995年)では、調査した283地点のうちスズメのみで観察されたのが52地点、ニュウナイスズメのみで観察されたのが30地点、両種が共に観察されたのが67地点と、部分的な棲み分けが確認されている。 繁殖は明るい森林で行い、樹洞など既存の穴を利用して営巣する傾向があり、人工物のすき間を積極的に利用するスズメとは営巣場所の選好が異なる。

狩猟情報

猟期
全国標準は毎年11月15日から翌年2月15日まで。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
主な猟法
銃猟が中心とされる。 歴史的にはスズメ類の捕獲に「かすみ網(霞網)」が用いられてきたが、現在は鳥獣保護管理法により学術目的等の許可を除き使用が原則禁止されている。

判別ポイント

スズメとの識別が最重要ポイント。 環境省の識別資料では、ニュウナイスズメ(オス)は「上面は明るい栗色(メスは上面が灰褐色)」「ほおに黒斑なし」「腹部は汚白色」とされる一方、スズメは「上面は茶褐色で頭部はより濃い」「ほおに黒斑あり」「腹部はくすんだ白色」とされ、両種の体格はいずれも「スズメ大」という共通の基準サイズで示される。 最大の識別点は「頬の黒斑の有無」で、スズメには頬に黒い斑があるのに対し、ニュウナイスズメにはこの黒斑がなく、顔が白っぽく明るい印象になる。 オスはさらに、目の上からくちばしの付け根にかけて細い白い線が入ること、頭上から後頸にかけての色がスズメより鮮やかな栗色であることでも区別できる。 メスは、スズメがほぼ雌雄同色であるのに対し、頭上が灰褐色で後頭部まで続く白い眉斑が目立つという顕著な性差があり、この点でもスズメと識別しやすい。 名前の由来は「にふ(斑)」=黒い斑点を意味し、「ニュウ(にふ)」がない、すなわち頬の黒斑がないスズメという説がある。

人との関わり

農林業・生活被害
歴史的には稲作地帯でイネの未熟な種子を食害する害鳥として知られていたが、現在の農林水産省の全国被害統計では独立した集計対象になっておらず、全国規模での被害額は不明である。 キジバト・ヒヨドリ・ムクドリ・スズメの4種と異なり、国が個別の被害対策マニュアルを作成していない点も、現在の経済的被害の規模がこれら4種より小さいことを示唆している。
利用
日本国内でニュウナイスズメを対象とした食文化・ジビエ利用は一般的ではない。
豆知識
名前に「スズメ」とつくが、同じスズメ属でもスズメより自然の森林への依存度が高く、繁殖地では山地の明るい林を好む。 「都会のスズメ」に対して「山のスズメ」ともいえる生態を持つ。 北海道南東部の学術調査では、スズメが山間部でほとんど見られないのに対し、ニュウナイスズメは平野部よりも山間部でスズメより多く観察されるという、両種の生息環境の違いが定量的に示されている。

出典

  1. 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜(一部改定版)」(取得日: 2026-07-04
  2. 日本野鳥の会「ニュウナイスズメ」(取得日: 2026-07-04
  3. 藤巻裕蔵(1996)「北海道南東部におけるスズメとニュウナイスズメの生息状況」STRIX Vol.14(取得日: 2026-07-04
  4. Wikipedia「ニュウナイスズメ」(取得日: 2026-07-04
  5. 環境省「かすみ網による密猟防止の推進について」(取得日: 2026-07-04

猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。

識別クイズで見分け方を練習できます。