基本分類
- 和名
- キジバト(雉鳩)
- 学名
- Streptopelia orientalis
- 分類
- 鳥綱 ハト目(Columbiformes)ハト科(Columbidae)キジバト属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。 日本産のハト科の中で唯一狩猟対象に指定されている種であり、市街地に多いドバト(カワラバト)や山地性のアオバトは狩猟鳥獣ではない。
生態
- 分布
- 北海道から沖縄まで日本全国に分布する。 多くの地域では留鳥だが、北海道では主に夏鳥として飛来する個体が中心。 ユーラシア大陸東部にも広く分布する種でもある。 環境省の自然環境保全基礎調査では、1974〜1978年と1997〜2002年の分布メッシュを比較すると、生息が確認されたメッシュ数・出現頻度の高いメッシュ数がいずれも増加しており、分布の拡大・密度上昇が確認されている。
- 生息環境
- もともとは農地や山林に生息していたが、1960年代以降は市街地にも進出して繁殖するようになった。 現在は低地から亜高山帯まで、公園・庭木・街路樹のある住宅地から山林まで幅広い環境で見られる。
- 体サイズ
- 全長約33cm、体重約170〜250g。 全体に灰褐色で、翼に鱗状の模様がある。
- 活動時間
- 昼行性。
- 食性
- 雑食性。 主に植物の種子・果実(雑草の種子や低木の小果実など)を食べ、昆虫やミミズなどの無脊椎動物も食べる。 種子を丸飲みするため、カワラヒワやスズメと異なり食害跡に種皮が散乱しないという特徴がある。
- 行動特性
- 繁殖期は4〜10月だが、暖かい地方では1年中繁殖することができる。 これはハト科に特有の「そのう乳(ピジョンミルク)」という栄養液を親鳥が体内で作り、雌雄双方がヒナに直接与えられるためで、外部の昆虫食など季節的な餌資源に依存しにくいことが通年繁殖を可能にしている。 社会性は低めで1羽か2羽(つがい)で行動していることが多い一方、餌の多い場所では100羽以上が一時的に集まることもあるが、ムクドリのような恒常的な大群やねぐら形成は見られない。 警戒心は同じ都市部で見られるドバトよりも明らかに強く、公園などでもドバトのように人の足元まで近づくことはほとんどない。 畑地での採食では、開けた大規模な畑よりも林に近い畑を好み、林側から侵入して内部へ歩きながら採食するため被害が林側に偏るという行動パターンが報告されている。
狩猟情報
- 猟期
- 全国標準は毎年11月15日から翌年2月15日まで。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
- 主な猟法
- 銃猟(散弾銃)が中心。 網猟・わな猟によるキジバトの捕獲は一般的ではない。 なお、スズメ目の小型鳥やハト類の捕獲に歴史的に用いられてきた「かすみ網(霞網)」は、鳥獣の保護繁殖に重大な支障を及ぼす猟具として鳥獣保護管理法により指定されており、学術研究目的や被害防止目的など環境大臣の許可を受けた場合を除き、所持・使用が原則禁止されている。
判別ポイント
ドバト(カワラバト、非狩猟鳥獣)との違い: ドバトは鼻瘤(びこぶ)が白っぽく目立ち、全体が灰色で頭部は緑色光沢があり、翼に二本程度の暗色帯がある。 一方キジバトは首の側面に黒と青灰色の横縞があり、全体が明るい茶褐色で、翼は黒褐色で縁が赤褐色。 行動面でも、ドバトは基本的に群れで生活し人への警戒心がほとんどないのに対し、キジバトは1〜2羽で行動し警戒心が強く、人に近づくことは少ない。 アオバト(非狩猟鳥獣)は全身が緑色で嘴は水色、キジバトより山地性の傾向が強く、色彩で容易に区別できる。 キジバト・ドバト・アオバトはいずれも体格の目安として「ハト大」という共通の基準サイズで示されるため、大きさではなく色彩・模様・行動での判別が必要。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 農林水産省の資料(ハト類=キジバトとドバトを合算した統計)によると、近年の被害額は大きく減少傾向にあり、平成19年度の約3.2億円から令和4年度には約0.75億円まで減少している。 被害対象は大豆などの豆類、麦類、稲、飼料作物、野菜など多岐にわたり、いずれも播種期の種子への被害が中心。 令和4年度統計では豆類が被害面積の40%、被害金額の29%を占め最も被害が大きく、被害量では麦類が32%で最多。 開けた大規模な畑よりも、林に近い畑で被害が多い傾向がある。 キジバト単独の全国被害金額の公表データは確認できていない。
- 利用
- 日本国内でキジバトを対象とした食文化・ジビエ利用は一般的ではない。
- 豆知識
- キジバトを含むハト科の鳥は、親鳥が「そのう(素嚢)」の内壁から分泌する「そのう乳(ピジョンミルク)」をヒナに与えて育てる。 雌雄どちらの親でも分泌できる点が哺乳類の母乳と異なり、この栄養源のおかげで昆虫が少ない真冬でも子育てが可能となり、暖かい地方では1年中繁殖できる。 1960年代以降に市街地にも進出して繁殖するようになり、現在では都市公園や住宅地の庭木でも普通に見られる鳥になった。
出典
- 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜(一部改定版)」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「参考資料1 狩猟鳥獣の法的な定義等」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省 生物多様性センター「第6回自然環境保全基礎調査 キジバト」(取得日: 2026-07-04)
- 農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル(鳥類編)2-2-6 ハト類」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「かすみ網による密猟防止の推進について」(取得日: 2026-07-04)
- Wikipedia「素嚢乳」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
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