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カワウ
被害情報あり
鳥類 ・ 狩猟鳥獣

カワウ

黒い翼の漁師

基本分類

和名
カワウ(川鵜)
学名
Phalacrocorax carbo(日本産の個体群は亜種 P. c. hanedae とされる)
分類
鳥綱 カツオドリ目(伝統的分類ではペリカン目)ウ科 ウ属
狩猟鳥獣としての区分
鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。 平成19年(2007年)6月1日付けで狩猟鳥獣に追加指定された比較的新しい種であり、鳥類の中で唯一、第二種特定鳥獣管理計画(個体数が著しく増加し農林水産業等に被害を及ぼしている鳥獣について、都道府県が捕獲等により個体数を適切な水準まで削減する計画)の対象種となっている。 近縁種のウミウ・ヒメウは非狩猟鳥獣。

生態

分布
20世紀前半は全国に生息していたが、1970年代には河川改修や水質汚染(PCB・ダイオキシン類等の化学物質汚染)による川魚の減少を主因として集団繁殖地(コロニー)が愛知県鵜の山、大分県沖黒島、東京都上野動物園不忍池(飼育個体由来)の3箇所のみとなり、全国の個体数が3,000羽以下まで減少して絶滅が危惧された。 1980年代以降、化学物質規制による水質改善などで回復に転じ、2001年には北海道でも繁殖が確認された。 2019年時点でねぐら・コロニーの数は全国566箇所に拡大しており、現在は北海道から沖縄県まで全国に生息する。 推定個体数は令和3年度(2021年、夏期)調査で約9万2千羽、そのうち半数以上が中部・近畿地方に集中している。
生息環境
河川・湖沼など内陸の淡水域から、内湾・汽水域など沿岸部まで幅広い水域を利用する。 ねぐら・コロニーは主に水辺に接する林(高木の針葉樹・広葉樹)や湖の島などに形成される。
体サイズ
全長80〜85cm、体重1.5〜2.5kg。 オスがメスよりやや大きいが野外での判別は難しい。 全身は褐色がかった黒色で、繁殖期には頭部と腰部の羽毛が白くなり、目の下の裸出部が赤みを帯びる(生殖羽)。 海外を含む集計では全長80〜101cm、翼開長130〜160cmとする幅の広い記録もある。
活動時間
昼行性。 行動時間帯は昼間に限られ、夜間は採食・移動を行わない。 早朝から日中にかけて単独または群れで採食し、日没後は数十羽から数万羽規模の群れとなって水辺の林や島のねぐらに集結する。
食性
魚食性。 沿岸の海水域から汽水域、内陸の淡水域まで幅広い水域で潜水して魚類を捕食する。 1日の採食量は約500g。 ウグイ・アユ・コイなどの在来魚のほか、オオクチバス・ブルーギルなど外来魚も多く捕食し、ウナギ・アカエイ・ザリガニ等の甲殻類、両生類を食べた記録もある。
行動特性
数十〜数百羽規模、大規模なものでは数万羽規模のコロニー(集団繁殖地)・ねぐらを形成する、鳥類の中でも特に強い集団性・社会性を示す種である。 産卵数は4〜5個、巣立ち雛数は1〜3羽。 ねぐら・コロニーと採食地の間を日常的に10〜15km、遠い場合は40km以上移動して往復する行動サイクルを持ち、季節移動や幼鳥の移動分散では都府県境を越えて数百kmに及ぶ移動が確認されている。 河川・湖沼周辺の人工構造物にもねぐら・コロニーを形成する例があり、漁業者・釣り人の目前でも採食するなど、人の生活圏に近い環境への進出・順応がみられる。

狩猟情報

猟期
全国標準は11月15日〜2月15日、北海道は10月1日〜1月31日とされる。 第二種特定鳥獣管理計画の策定により、法定猟期の範囲内(10月15日〜翌年4月15日)で延長される場合がある。 猟期・規制は都道府県により異なるため、必ず自治体の最新情報を確認すること。
主な猟法
銃猟(装薬銃・空気銃)が中心。 網猟も可能だが、はり網(人が操作せず自動的に絡めとる網)は鳥類の捕獲には使用できず、人が操作する網に限られる。 わな猟は鳥類の捕獲等をするために使用することが全国一律で禁止されている。 大規模なねぐら・コロニーで安易に発砲すると個体群が分散してかえって被害が拡大するおそれがあるため、環境省は地元自治体・漁業関係団体との事前調整と、捕獲した個体を持ち帰ることを求めている。

判別ポイント

ウミウ(非狩猟鳥獣)との違い: 成鳥はウミウの方が上面の光沢が暗緑色(カワウは褐色光沢)で、くちばし基部の黄色い裸出部が口角で三角形に尖る(カワウは尖らない)。 頬の白色部はウミウでは目の後方から斜めに立ち上がるが、カワウは目の後方にほぼまっすぐ、やや下向きに伸びる。 体格はウミウの方がひとまわり大きいが、両種は酷似し成鳥・幼鳥・季節による見え方の違いもあるため、内陸で捕獲された個体でもウミウが混獲される例が報告されており、慎重な判断が求められる。 ヒメウ(非狩猟鳥獣)は主に沿岸の岩礁域に生息し内陸の河川・湖沼にはほとんど生息しないため、生息環境の違いも判別の手がかりになる。

人との関わり

農林業・生活被害
内水面漁業(河川・湖沼)において、放流魚や漁獲物の食害、漁網の破損、釣り人がカワウを嫌うことによる入漁料収入の減少などの被害が発生しており、近年は瀬戸内海など海面での被害も増加している。 全国内水面漁業協同組合連合会による2008年(平成20年)時点の推計では、アユを中心とした内水面漁業だけで被害額が全国103億円に達したとされる。 環境省・水産庁は被害を与えるカワウの個体数を対策指標とし、令和4年度時点で約4万2千羽(平成25年度の約4万羽から増加傾向)、令和10年度までに平成25年度水準からの半減(約2万羽)を目標としている。 全国の年間捕獲数は令和3年度で約2万6千羽。 滋賀県・琵琶湖の竹生島には全国最大規模とされるコロニーがあり、令和2年のカワウによる捕食量は約543トンと試算され、同年の琵琶湖漁業の年間魚類漁獲量(約759トン)の約7割に相当する。 ねぐら・コロニーでは巣材採集や糞害による樹木の枯損など植生被害も生じる。
利用
食用としての利用は一般的でない。 ただし歴史的には、鵜飼文化(鵜飼で使われるのは主にウミウ)や、糞を良質な肥料として利用する文化が存在した。
豆知識
1970年代に全国3箇所・3,000羽以下まで激減し絶滅が危惧されたが、水質改善やコロニー保護によって2021年時点で推定約9.2万羽まで回復した、日本の野生動物の「復活」を象徴する種の一つである。 個体数増加を受け2007年に狩猟鳥獣に指定され、現在は鳥類の中で唯一、第二種特定鳥獣管理計画の対象として個体数管理が図られている。

出典

  1. 環境省「カワウの生態」カワウの保護管理 ぽーたるサイト(取得日: 2026-07-04
  2. 環境省「カワウの保護管理の背景」カワウの保護管理 ぽーたるサイト(取得日: 2026-07-04
  3. 環境省「カワウとウミウの見分け方」リーフレット(取得日: 2026-07-04
  4. 環境省「狩猟制度の概要」(取得日: 2026-07-04
  5. 農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル(基礎編)2-2-7 カワウ」(令和5年度版)(取得日: 2026-07-04
  6. 環境省・水産庁「令和6年度からのカワウ被害対策の考え方について」(令和6年5月)(取得日: 2026-07-04
  7. 滋賀県「カワウ問題」(取得日: 2026-07-04
  8. Wikipedia「カワウ」(取得日: 2026-07-04

猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。

被害と対策

カワウによる被害は主に水産業への影響が深刻で、河川・湖沼・養殖池での魚類食害が大きな問題となっています。 特にアユ、ウグイ、コイ、フナ等の淡水魚を大量に捕食し、内水面漁業や養殖業に甚大な被害をもたらしています。 群れで行動するため被害が集中的で深刻になりやすく、一つの水域で大量の魚が捕食されることがあります。 また、営巣地周辺では糞害による森林枯死や悪臭問題も発生しています。 近年個体数が急激に回復し全国的に被害が拡大傾向にあります。

年間被害額:年間約15億円(内水面漁業被害)データ年度:2023年度
出典:
農林水産省「野生鳥獣による農作物被害状況」水産庁「カワウ被害対策マニュアル」環境省「特定鳥獣保護管理計画技術マニュアル(カワウ編)」
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