基本分類
- 和名
- カルガモ(軽鴨)
- 学名
- Anas zonorhyncha(旧分類ではAnas poecilorhyncha zonorhyncha)
- 分類
- 鳥綱 カモ目(Anseriformes)カモ科(Anatidae)マガモ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種(鳥類26種)の1種。
生態
- 分布
- 日本では本州以南に周年生息する留鳥で、全国に広く分布・繁殖する。 北海道では主に夏鳥で、冬は南へ移動する個体が多い。 国外ではユーラシア東部(中国、朝鮮半島、アムール地方など)に分布する。 冬鳥として渡来する他の淡水ガモとは異なり、日本国内で通年生息・繁殖する留鳥的性格が最も強い種である。
- 生息環境
- 河川、湖沼、湿地、干潟、水田など多様な水辺に生息し、海岸から内陸まで幅広い。 都市部の公園の池や市街地の水辺にも進出しており、近年、都市部に生息域が広がっているとされる。
- 体サイズ
- 全長約53〜63cm(資料により50〜64.5cmと幅がある)で、マガモとほぼ同大の大型のカモ。 オスの方がメスよりやや大きく黒みも強いとされる。 翼開長は約83〜99cm。
- 活動時間
- 昼間は広い水面や水際の植生帯など安全な場所で休息し、夜間に農地等へ出て採食する行動が知られる。 ただし給餌場所や水草の豊富な水域では日中にも採食するなど、環境によって柔軟に行動する。
- 食性
- 主に植物食で、水生植物(特に沈水植物)、植物の葉・種子、収穫後の水田の二番穂などの穀類、ドングリを好む。 加えて水生昆虫・貝類などの水棲小動物も食べ、魚類を食べた記録もある雑食寄りの広い食性を持つ。
- 行動特性
- 雌雄ほぼ同色で、繁殖羽とエクリプス羽の明瞭な季節差が乏しく、通年ほぼ同じ姿で観察できる点が特徴である。 本州以南では渡りをせず定住する留鳥で、繁殖期(4〜7月)は分散して水辺から少し離れた乾いた場所に巣を作る。 冬季は水辺で群れになり、他のカモ類やハクチョウ類と混群をつくることも多い。 都市部の公園やオフィス街の人工池でも普通に繁殖し、人を恐れにくい行動をとる。 東京都心のオフィス街の人工池でヒナが誕生し、皇居の堀へ移動する「カルガモ親子の引っ越し」が1980年代後半から風物詩として知られている。
狩猟情報
- 猟期
- カモ類の全国標準の猟期は毎年11月15日から翌年2月15日までとされる。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
- 主な猟法
- 銃猟(散弾銃によるカモ猟が中心)、網猟(ムソウ網など)。 わな猟による捕獲は一般的でない。 カモ類は地域により1日あたりの捕獲羽数上限(カモ類合計で1日5羽など)が定められている場合がある。
判別ポイント
最も注意が必要なのはマガモのメスとの識別で、くちばし(カルガモは大部分が黒く先端のみ黄〜橙色。 これが最大の決め手。 マガモのメスは全体的に橙色で上面に黒み)、顔の明るさ(カルガモは白〜クリーム色で明るい)、過眼線の濃さ(カルガモの方が濃くはっきり)、三列風切の白い位置(カルガモは下部が白い)で見分ける。 カルガモは雌雄ほぼ同色で通年ほぼ同じ姿のため、マガモのメスやエクリプスのマガモと取り違えやすい。 各地でカルガモとマガモ(または野生化したマガモ系アヒル)の交雑個体「マルガモ」も報告されており、くちばし全体が黄色いなど中間的な外見となるため注意が必要である。 マガモのオス(繁殖羽)は緑色の頭部・白い首輪・黄色い嘴・栗色の胸が揃うため、全身黒褐色のカルガモとの識別は容易である。 オシドリ・トモエガモなどの非狩猟鳥獣とは通常容易に区別できるが、雑種個体やエクリプス個体が混じる場面では慎重な確認が必要である。 判別に自信が持てない場合は捕獲を見送ることが安全策とされる。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- カモ類(カルガモ・マガモ・ヒドリガモが主)による農作物被害額は全国で年間5億円前後とされ、稲・麦類・野菜が主な対象である。 このうち稲の被害は主にカルガモによるもので、湛水直播の種もみや出芽苗が食べられたり踏みつけで出芽が阻害されたりする。 河川や池から1〜2km以内の田で被害が多い傾向があり、れんこん(ハス田)の被害も大きい。
- 利用
- カルガモは狩猟鳥として利用され、肉が食用にされる。 地域により味が変わるとされる例もあり、毎年20数万羽が狩猟されているともいわれるが、公的統計での確認は本資料では未実施である。
- 豆知識
- 「カルガモ親子の引っ越し」は、東京都心・大手町のオフィス街の人工池で繁殖したヒナを、母鳥が皇居の堀まで大通りを横断して連れて歩く様子が1980年代後半から報道され、都市の初夏の風物詩として親しまれた。 カルガモは淡水ガモの中では珍しく雌雄がよく似た羽色で、繁殖羽・エクリプスの差が乏しい。
出典
- 環境省 生物多様性センター「第6回自然環境保全基礎調査 カルガモ」(取得日: 2026-07-04)
- 農林水産省「野生鳥獣被害防止マニュアル(鳥類編)カモ類」(取得日: 2026-07-04)
- あきた森づくり活動サポートセンター「野鳥シリーズ37 カルガモ、オナガガモ」(取得日: 2026-07-04)
- 野鳥情報.com「カルガモとマガモのメスの違いと見分け方」(取得日: 2026-07-04)
- 三井物産株式会社「What's New(プラザ池でのカルガモ)」(取得日: 2026-07-04)
- Wikipedia「カルガモ」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
被害と対策
カモ類(マガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ハシビロガモ、ヨシガモ等)による農業被害は主に水田での稲作への影響です。 群れで水田に飛来し、播種直後の種籾を掘り起こして食べたり、成長期の稲穂や青い稲の葉を食害したりします。 また、麦類への食害、牧草地での牧草食害、ゴルフ場の芝生を荒らすこともあります。
年間被害額:約4.5億円(鳥類被害の14%)データ年度:2023年度
出典:
農林水産省「野生鳥獣による農作物被害状況」環境省「鳥獣保護管理基本指針」
識別クイズで見分け方を練習できます。

