基本分類
- 和名
- ホシハジロ(星羽白)
- 学名
- Aythya ferina
- 分類
- 鳥綱 カモ目(Anseriformes)カモ科(Anatidae)ハジロ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。 世界的にはIUCNレッドリストで危急種(Vulnerable、絶滅危惧II類相当)に評価されている種であるが、日本国内では現在も狩猟鳥獣に指定されており、国際的な保全評価と国内の狩猟制度の間にギャップがある事例として知られる。
生態
- 分布
- ユーラシア大陸中緯度(ヨーロッパ中東部からバイカル湖にかけての地域)で繁殖し、冬季はヨーロッパ南部・北アフリカ・中近東・インド・中国東部・日本へ南下して越冬する。 日本には冬鳥として全国に渡来し、本州・四国・九州で越冬する。 北海道東部では少数ながら繁殖記録がある。 渡来は10月に入ると全国的に始まり、渡去は3月から数が減り始め4月末までにほとんど見られなくなる。
- 生息環境
- 大きい河川、湖沼、ダム湖、潟湖など比較的淡水域に多く生息する。 越冬地では池・湿地・河口の干潟も利用する。 繁殖地では植生に囲まれた淡水域やアルカリ性湿地帯を好む。 潜水ガモの中では海水域よりも内陸の淡水湖沼への依存度が高い点が特徴で、外海に生息するクロガモとは生息環境が明確に異なる。
- 体サイズ
- 全長42〜49cm、翼開張72〜82cm、体重0.5〜1.3kg。 頭頂部が盛り上がり三角形に見えるのが特徴。 オスは頭部から頸部が赤褐色で虹彩は赤色、嘴は基部が黒く中央が青灰色で先端が黒い。 メスは全体的に褐色で地味な羽色。
- 活動時間
- 潜水して水底の餌を探す採食行動が中心で、1回の潜水は15〜30秒程度続く。 活動時間帯については資料により見解が分かれ、明確な薄明薄暮〜夜間シフトの記録は確認できておらず、主に日中の潜水採食が観察・記録されている。
- 食性
- 植物食傾向の強い雑食性。 アマモ・エビモ・シャジクモなどの水草の葉や地下茎、イネ科・タデ科などの種子を中心に、環境によっては貝類、水生昆虫、甲殻類、小魚、両生類なども採食する。 水面採食が主体のマガモと異なり、潜水による水底採食を得意とする。
- 行動特性
- 越冬地では数羽から数十羽規模の群れをつくり、千葉県三番瀬では最大93羽の群れが記録されている。 キンクロハジロなど他のハジロ属とも混群を形成することがあり、単独での採食も見られる。 一夫一婦制で、水深の浅い湖沼周辺で4〜5月に産卵する。 メスには強い帰巣性があり、1歳では88%、2歳以上では100%が前年の繁殖地に戻るという報告がある。 また日本列島を北・東に進むほど、越冬群れに占めるオスの割合が高くなる傾向が報告されている。
狩猟情報
- 猟期
- 全国標準は11月15日〜2月15日とされる。 猟期・捕獲規制は都道府県により異なるため、必ず自治体の最新情報を確認すること。
- 主な猟法
- 銃猟(散弾銃によるカモ猟)が中心。 地域によりカモ類合計での1日あたりの捕獲羽数上限が定められている場合がある。 網猟・わな猟による捕獲は一般的でないとみられる。
判別ポイント
キンクロハジロとの違い: キンクロハジロのオスは背中が黒く後頭部に垂れ下がる冠羽があり頭部の光沢が紫がかるのに対し、ホシハジロのオスは頭部が赤褐色で虹彩が赤く、頭頂が盛り上がり三角形に見える点で区別しやすい。 スズガモとの違い: スズガモのオスは背中が白〜灰色に細い黒線が入り頭部の光沢は緑がかり、海上で大群を作る点でも内陸淡水域中心のホシハジロと生息環境が異なる。 クロガモとの違い: クロガモのオスは全身がほぼ黒色で上嘴基部に橙黄色のこぶ状突起を持ち、外海の沿岸に生息する海ガモであるため、赤褐色の頭部を持つホシハジロとは色・生息環境ともに大きく異なり誤認は少ない。 メスの識別(現場で最も紛らわしい): ホシハジロのメスは全体的に褐色で地味、キンクロハジロのメスは後頭部にごく短い冠羽を持ち、スズガモのメスは冠羽を持たず嘴の付け根に白い部分がある。 いずれも褐色系の地味な羽色である点でホシハジロのメスと紛らわしくなり得るため、頭部形状(ホシハジロは三角形的)と嘴基部の斑紋の有無を合わせて確認することが重要である。 アカハジロ(非狩猟鳥獣、環境省レッドリストで情報不足〈DD〉、国際的には近絶滅種)との違い: ホシハジロのオスは虹彩が赤色であるのに対し、アカハジロのオスは虹彩が白〜淡黄色で、繁殖羽では頭部が緑色光沢のある黒色になり、腹部・尾羽基部の下面が白い点で識別できる。 外見が近い希少種として誤認捕獲防止上重要な判別対象である。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 水生植物・貝類・水生昆虫などを主な餌とする潜水ガモであり、水稲や畑作物を対象とした具体的な被害統計は確認できていない。 カモ類全体の農業被害統計はマガモなど水面採食ガモを主対象として集計されている可能性が高く、本種単独の被害の有無・内訳は確認できていない。
- 利用
- ジビエとして流通・消費されていることを示す資料は見当たらず、一般的な利用は確認できない。
- 豆知識
- 世界的にはIUCNレッドリストで危急種(Vulnerable)に評価されているが、日本国内では現在も狩猟鳥獣46種の1種であり、国際的な保全上の位置づけと国内の狩猟制度上の扱いにギャップがある種として紹介されることがある。 メスには強い帰巣性があり、多くの個体が生まれ育った、あるいは前年繁殖した湖沼へ戻って営巣する習性が報告されている。
出典
- 環境省 自然環境局 生物多様性センター「鳥類アトラスWEB版(鳥類標識調査 回収記録データ)ホシハジロ」(取得日: 2026-07-04)
- Wikipedia「ホシハジロ」(取得日: 2026-07-04)
- 千葉県「ホシハジロ|三番瀬自然環境データベース」(取得日: 2026-07-04)
- バードリサーチ「生態図鑑 ホシハジロ」(バードリサーチニュース)(取得日: 2026-07-04)
- Wikipedia「アカハジロ」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「狩猟鳥獣の見分け方 〜誤認捕獲の防止のために〜(一部改定版)」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
カモ類(マガモ、ヒドリガモ、カルガモ、ハシビロガモ、ヨシガモ、ホシハジロ等)による農業被害は主に水田での稲作への影響です。 群れで水田に飛来し、播種直後の種籾を掘り起こして食べたり、成長期の稲穂や青い稲の葉を食害したりします。 ホシハジロは主に湖沼や池で生活するため農業被害は限定的ですが、渡り時期に水田に飛来することがあり、その際に稲作への軽微な被害が報告されています。 また、ゴルフ場の池での魚類への影響、養魚場での軽微な被害も稀に発生します。

