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ハクビシン
哺乳類 ・ 狩猟鳥獣

ハクビシン

夜の静かな散歩者

基本分類

和名
ハクビシン(白鼻芯・白鼻心)
学名
Paguma larvata
分類
哺乳綱 食肉目(ネコ目)ジャコウネコ科ハクビシン属(本種のみでハクビシン属を構成する1属1種)
狩猟鳥獣としての区分
獣類。 鳥獣保護管理法上の狩猟鳥獣46種の1種。 外来生物法に基づく特定外来生物には指定されていないが、2015年公表の環境省・農林水産省「生態系被害防止外来種リスト」では、総合対策外来種のうち「重点対策外来種」に位置づけられている。

生態

分布
自然分布域はヒマラヤ、中国南部、台湾、マレー半島、スマトラ、ボルネオなど東〜東南アジア一帯。 日本国内では本州(宮城・福島〜中部地方に多い)から四国にかけて分布し、環境省の生息分布調査では全国19,255メッシュ中5,052メッシュ(約26%)で生息情報が確認され、北海道・山口県・九州沖縄地方など計10道県を除く37都府県に及ぶ(前回調査とは手法が異なるため単純な経年比較はできない)。 日本のハクビシンが在来種か外来種かについては、1952年の日本哺乳動物学会例会以来70年以上議論が続いており、江戸時代または昭和初期に毛皮用として台湾・中国から持ち込まれた個体群が定着した外来種とする説が有力視されているが、確定はしていない。
生息環境
市街地から山間部まで生息環境の幅が非常に広く、樹上生活に高度に適応している。 自ら巣穴を掘る能力はなく、樹洞・岩穴のほか、タヌキなど他の動物が使い古した巣穴や人家の屋根裏を休息場所として利用する。
体サイズ
頭胴長は雌で約61cm、雄で約66cm、尾長は約40〜60cmで体とほぼ同じ長さがあり、体重は3〜6kg程度(資料により2.0〜5.5kgとする幅もある)。 額から鼻先にかけて1本の白い線が入るのが最大の特徴で、和名の由来にもなっている。 顔面や四肢の下部は黒褐色。
活動時間
夜行性で、昼間は樹洞・岩穴・人家の屋根裏等で休息し、夜になると樹上を中心に果実や種子を採食する。 野生下では厳密な冬眠は行わないが、気温が下がる冬季は活動量を落とし、半休眠に近い状態になるとされる。
食性
雑食性だが、特に果実・種子を強く好む点がジャコウネコ科の中でも特徴的。 イチジク・カキ・ナシ・バナナ・ミカン・ブドウ・スイカなど非常に多様な果実類を採食するほか、昆虫類・魚類・甲殻類・残飯なども食べる。
行動特性
単独で行動することを好むが、母親と幼獣が家族単位で一定期間行動を共にし、個体間の排他性(縄張り性)が弱く、休息用のねぐらを複数個体が緩やかに共有する例も報告されている。 恒常的な群れやコロニーを形成する事実は確認できない。 電線や雨どいを伝って移動する高い運動能力を持ち、8cm四方程度の隙間があれば屋根裏に侵入できる。 物音や人の気配には敏感に反応するとされる一方、実際には人家侵入をためらわない大胆さも示す。

狩猟情報

猟期
全国標準の狩猟期間は11月15日から翌年2月15日まで。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認すること。
主な猟法
銃猟およびわな猟(箱わなが中心)が用いられる。 生活環境被害・農業被害の防止目的であれば、わな猟免許を持たない者でも自己の敷地内に小型の箱わなを設置して捕獲できる制度が設けられている。 網猟による捕獲は一般的ではない。

判別ポイント

アライグマ・タヌキとの誤認に注意。 顔の模様は、ハクビシンが額から鼻先にかけて1本の白い線(和名「白鼻芯」の由来)を持つのに対し、アライグマは目を覆う黒いマスク状、タヌキは目の周りが黒っぽいが明瞭な白線はない。 尾は、ハクビシンが縞のない体とほぼ同じ長さの一色の長い尾であるのに対し、アライグマは黒い輪状の縞が4〜10本(5〜7本が多い)入り、タヌキも縞はない。 体型はハクビシンが胴長短足でしなやか、アライグマは中型犬程度でずんぐりしない体つき、タヌキはずんぐりした体型と異なる。 ハクビシンは自ら穴を掘れず他種の古巣や屋根裏を利用し、決まった場所(ためフン場)を使う傾向がある点で、同じく溜めフンの習性を持つタヌキと似るが、アライグマには一定の場所に溜めフンをする性質がない。

人との関わり

農林業・生活被害
被害を受ける品目は果樹と野菜が中心で、両者で被害額のおよそ9割を占めるとされる。 カキ・サクランボ・ナシ・ブドウなどの果樹、イチゴ・サツマイモなどの野菜で被害が報告されている。 金額の目安として平成21年度の全国被害額は約3億2千万円、令和5年度は約3億6千5百万円程度とする集計があるが、農林水産省の一次資料そのものでの数値確認はできておらず参考値である。 栃木県ではイノシシに次いで農業被害額が多い鳥獣とされ、屋根裏侵入による糞尿・断熱材損傷・悪臭といった生活環境被害も発生している。
利用
ジビエとしての利用は一般的ではない。 個体が小型で1頭あたりの肉量が少なく買い取りを行う飲食店は限られるが、果実を好む食性から臭みが少なくフルーティーな風味との評価も一部にある。
豆知識
「ハクビシン」という名前は、額から鼻先にかけて入る1本の白い線(白鼻芯)に由来する。 在来種か外来種かをめぐる論争は1952年の学会例会以来70年以上続いており、日本の哺乳類の中でも分類学的な決着がついていない珍しい例である。

出典

  1. 環境省 報道発表資料「アライグマ、ハクビシン、ヌートリアの生息分布調査の結果について」(取得日: 2026-07-04
  2. 国立環境研究所 侵入生物データベース「ハクビシン」(取得日: 2026-07-04
  3. 栃木県「優先対策種『ハクビシン』について」(取得日: 2026-07-04
  4. 東京都府中市「ハクビシンとアライグマについて」(取得日: 2026-07-04
  5. 東京都小平市「ハクビシンとアライグマについて」(取得日: 2026-07-04

猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。

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