基本分類
- 和名
- エゾライチョウ(蝦夷雷鳥)
- 学名
- Tetrastes bonasia(日本産亜種は Tetrastes bonasia vicinitas とされる)
- 分類
- 鳥綱 キジ目 キジ科 エゾライチョウ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 鳥類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種。 ただし環境省レッドリストでは情報不足(DD)、北海道レッドリスト(2017年改訂版)では準絶滅危惧(Nt)に区分されており、狩猟対象でありながら保全上の注意が必要とされる種である。
生態
- 分布
- 日本国内では北海道のみに留鳥として分布し、本州以南には生息しない。 世界的にはスカンジナビア半島からオホーツク海沿岸・朝鮮半島にかけてのユーラシア大陸北部およびサハリンに広く分布する。 北海道内の分布調査では山地帯の調査区画の58.7%で生息が確認された一方、平野・盆地部では14.5%にとどまり、山地の森林環境に偏った分布を示す。
- 生息環境
- 標高200〜800m程度の亜高山帯以下で、針葉樹人工林に広葉樹が混じる針広混交林や落葉広葉樹林を好む。 下枝があまり密生せず、ササ等の下生えのある林でよく観察される一方、カラマツ人工林はあまり好まない。
- 体サイズ
- 体重約350〜400g、翼長約17cm。 ずんぐりとした体型が特徴。
- 活動時間
- 昼行性。 非積雪期は樹上をねぐらとするが、積雪が30cm以上になると樹上から雪面に飛び込み、雪中に浅い穴を掘ってねぐらとする、寒冷地に適応した休息行動をとる。
- 食性
- 植物食が基本で、樹木の芽・枝・葉・果実・種子などを一年を通じて採食する。 孵化直後の雛は昆虫等の動物質を多く摂取する。
- 行動特性
- 渡りをしない留鳥で、季節的な長距離移動はほとんど見られない定住性の強い種である。 繁殖期には縄張り性を示し、3月末頃から雄が倒木や立木の枝上で羽ばたきながら跳び上がり、大きな羽音を立てて誇示する。 雄同士が遭遇すると、冠羽を立て喉の黒斑を膨らませ尾羽を扇状に広げる威嚇ディスプレイを行う。 5月頃に地上へ営巣し、孵化後はメスと雛が秋まで「家族群れ」を形成して行動するが、それ以外の時期は単独〜小規模なグループで行動し、大きな群れは形成しない。
狩猟情報
- 猟期
- 北海道全域(西興部村猟区・占冠村猟区を除く)の狩猟期間は毎年10月1日から翌年1月31日までとされ、本州以南の全国標準猟期(11月15日〜翌年2月15日)とは異なる北海道独自の設定である。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認してください。
- 主な猟法
- 銃猟(散弾銃)が中心。 わな猟による捕獲が一般的かどうかは確認できていない。 1日当たり2羽までの捕獲羽数制限が設けられている。
判別ポイント
ライチョウ(Lagopus muta japonica、国指定特別天然記念物・非狩猟鳥獣)との名称混同に注意が必要である。 名前が似ているが属の異なる別種で、ライチョウは本州中部の標高2,200〜2,400m以上の高山帯(ハイマツ林帯・岩石帯)にのみ生息し北海道には生息しないため生息域は重ならず、現場での誤認捕獲リスクは低いが、狩猟免許試験の知識問題として問われやすい。 外見上も、ライチョウは夏羽が白・黒・茶の斑模様、冬羽はほぼ全身白色になるなど季節で羽衣が劇的に変化するのに対し、エゾライチョウは年間を通じて黄土色・茶色・白のまだら模様で変化しない点が明確な相違点である。 雌雄の判別は、雄の喉に黒斑があるのに対し雌にはこの黒色部がない点で見分けられる。 北海道にはヤマドリ・キジの定着記録が確認できず、現場でこれらと混同する可能性は低いと考えられる。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 調査した範囲では農林業被害の統計・報告は確認できない。 生息地が奥山の森林に限られ、個体数自体も少ないことから、他の狩猟鳥獣と比べて農業被害は特に問題視されていないと考えられる。
- 利用
- 白身肉の中でも極上とされ、ソテーなど単純な調理でも七面鳥に似た風味としっかりした旨味・ジューシーさを持つと評価される。 特に胸肉は肉厚で繊細な味わいとされる。 生息数の少なさから、鳥猟の中でも希少価値の高いジビエとされる。
- 豆知識
- 名前に「ライチョウ」を含むが、特別天然記念物のライチョウとは属の異なる別種であり、一方は狩猟対象、他方は厳格な保護対象という対照的な扱いを受けている。 積雪期には樹上から雪面に飛び込んで雪中に浅い穴を掘りねぐらとする、北海道の寒冷な冬に適応した独特の休息行動を持つ。
出典
- Wikipedia「エゾライチョウ」(取得日: 2026-07-04)
- 北海道庁 環境生活部自然環境局「北海道レッドリスト【鳥類編】改訂版(2017年)について」(取得日: 2026-07-04)
- 北海道庁 環境生活部自然環境局「狩猟者登録について」(取得日: 2026-07-04)
- 環境省「ライチョウ」(取得日: 2026-07-04)
- J-STAGE 日本鳥学会誌「北海道におけるエゾライチョウの分布」(取得日: 2026-07-04)
- 林野庁 北海道森林管理局「エゾライチョウ」(取得日: 2026-07-04)
- マイナビ農業「狩猟できる動物は48種に決められている! 後編・鳥類28種」(取得日: 2026-07-04)
- 野食ハンマープライス「エゾライチョウを捌いて食べてみた」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
保全上の注意
北海道レッドデータブック(2017年改訂版)で準絶滅危惧に選定されている。 狩猟鳥獣としての指定は継続しているが、生息状況に留意が必要とされる。
識別クイズで見分け方を練習できます。

