基本分類
- 和名
- アライグマ
- 学名
- Procyon lotor
- 分類
- 哺乳綱 食肉目(ネコ目)アライグマ科アライグマ属
- 狩猟鳥獣としての区分
- 獣類。 環境省が指定する狩猟鳥獣46種の1種であると同時に、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」に基づく特定外来生物にも指定されている、二重の法的位置づけを持つ種。
生態
- 分布
- 本来の生息地は北米大陸(アメリカ合衆国を北限に中米パナマ付近まで)。 日本には1962年の愛知県犬山市の動物園からの逸出や、1970年代後半以降のペットブームに伴う飼育放棄・逸出により全国に拡大した外来種。 環境省の調査(2018年公表)では、全国19,255メッシュ中3,862メッシュ(約20%)で生息情報が確認され、確認都道府県数は35から44都道府県(秋田県・高知県・沖縄県を除く)に増加している。
- 生息環境
- 都市部から森林・湿地帯まで、水辺を中心とした幅広い環境に生息する。 巣は木のうろ・岩穴のほか、人家の屋根裏や納屋も利用し、冷帯湿潤気候から熱帯まで様々な気候に対応できるとされる。
- 体サイズ
- 頭胴長40〜65cm、尾長20〜40cm、体重3.5〜11kg程度(稀に20kgを超える個体も)で、オスがメスよりやや大型になる傾向がある。 目を覆う黒いマスク状の模様と、尾の黒い輪(4〜10本、5〜7本とする資料が多い)が外見上の特徴。 数値は測定方法・個体差・出典により幅がある。
- 活動時間
- 基本的には夜行性で、日中は樹上や家屋の隙間などで休息するが、昼間の活動も記録されている。 寒冷地では気温がマイナス4度以下になると冬ごもり(半冬眠)を行うとされる。
- 食性
- 雑食性で、小型哺乳類・魚類・鳥類・両生類・爬虫類・昆虫類・甲殻類のほか、野菜・果実・穀類まで非常に幅広く採食する。 夏は動物質、秋は植物質を多く摂取する傾向があり、トウキョウサンショウウオやニホンイシガメなど希少な在来生物を捕食した事例も報告されている。
- 行動特性
- 基本的に単独性で、繁殖期のみ一時的にペアを形成し、恒常的ななわばりは持たないとされる。 行動圏は海外データで806〜1,139ha、国内外を含む資料では直径1〜3km程度とする記載もあり幅がある。 前足の指は5本で長く触覚が非常に鋭敏で、水中で獲物を手探りする採食行動(和名・学名lotor=「洗う者」の由来)や、鍵・容器のふた・ネットなどを器用な指先で開けてしまう学習的行動が知られる。 学習能力の高さから罠や忌避剤に慣れてしまう例も指摘されている。
狩猟情報
- 猟期
- 狩猟による捕獲は他の狩猟鳥獣と同様に全国標準で11月15日から翌年2月15日まで。 ただし特定外来生物としての防除(自治体等の許可に基づく捕獲)は猟期に関わらず年間を通じて実施される場合がある。 猟期・規制は都道府県により異なるため必ず自治体の最新情報を確認すること。
- 主な猟法
- 銃猟(装薬銃等)およびわな猟(箱わなが中心)が用いられる。 特定外来生物の防除では、鳥獣保護管理法上の狩猟免許を持たない防除従事者でも、講習等を受けた上で法定猟具(箱わな等)を使用できる仕組みがある。 網猟による捕獲は一般的ではない。
判別ポイント
タヌキ・ハクビシンとの誤認に注意。 顔の模様は、アライグマが目を覆う黒いマスク状(眉間に黒い線状模様が入るとする資料もある)、タヌキは目の周りが黒っぽいが明瞭な白線はなく、ハクビシンは額から鼻先にかけて1本の白い線が入る。 尾は、アライグマが黒い輪状の縞4〜10本(5〜7本が多い)を持つのに対し、タヌキ・ハクビシンには縞がない。 前足は指が長く5本で非常に器用な手のような足跡を残す点もアライグマの特徴で、タヌキは犬に近い足跡、ハクビシンはネコに似た足跡をやや大きく5本指にしたような形になる。 アライグマは自ら穴を掘らず樹洞・岩穴・家屋等を利用し、一定の場所に溜めフンをする性質がない点でも、溜めフンの習性を持つタヌキ、ためフン場を使う傾向があるハクビシンと異なる。
人との関わり
- 農林業・生活被害
- 農林水産省の統計等を引用する資料によれば、農作物被害額は2021年度に4億1,400万円、2022年度には約5億円に達したとされ、5年間で約2割増加するなど拡大傾向が続いている(農林水産省一次資料そのものでの数値確認はできておらず、二次資料の集約に基づく参考値)。 スイカ・ブドウ・トウモロコシ・ナシなど甘みのある品目が被害を受けやすい。 屋根裏への侵入による糞尿被害・悪臭・騒音・建材の損壊、希少種の捕食や在来生物との競合による生態系被害も報告されている。 狂犬病・ジステンパー・アライグマ回虫など人獣共通感染症の病原体を媒介するおそれも指摘されている。
- 利用
- ジビエとしての利用は一般的ではない。 個体が小型で1頭あたりの肉量が少ないため買い取りを行う飲食店は限られるが、丁寧に処理すれば臭みは少なく脂に甘みがあるとの評価も一部にある。
- 豆知識
- 和名「アライグマ」および学名の種小名lotor(「洗う者」の意)は、水中で獲物を手探りする採食行動が食物を洗っているように見えることに由来する。 日本では1962年の愛知県犬山市の動物園からの逸出や、1970年代後半のテレビアニメ放映によるペットブームでの飼育放棄が、全国的な野生化・分布拡大のきっかけになったとされる。
出典
- 環境省 報道発表資料「アライグマ、ハクビシン、ヌートリアの生息分布調査の結果について」(取得日: 2026-07-04)
- 国立環境研究所 侵入生物データベース「アライグマ」(取得日: 2026-07-04)
- 千葉県「特定外来生物 アライグマ」(取得日: 2026-07-04)
- 東京都府中市「ハクビシンとアライグマについて」(取得日: 2026-07-04)
- 東京都小平市「ハクビシンとアライグマについて」(取得日: 2026-07-04)
- 東京ズーネット「アライグマの器用な手先」関連記事(取得日: 2026-07-04)
- 農林水産省「全国の野生鳥獣による農作物被害状況について」(取得日: 2026-07-04)
猟期・捕獲規制・都道府県独自ルールは変更される可能性があります。実際の狩猟にあたっては必ず対象都道府県の最新の公式情報をご確認ください。
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